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「プロテインを使って身につけた筋肉は偽物で役に立たない」…… これってホント? ネットでよく聞く噂に迫ってみた!

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photo by Angela Radulescu

今回はプロテインを愛用して筋力トレーニングをしている方には聞き捨てならない、「プロテインを飲んでつけた筋肉は偽物で、プロテインを飲まずにつけた筋肉とは違う」という噂について、切り込んでいきたいなと思います。

結論から先に言ってしまいましょう。プロテインを飲んで身につけた筋肉も、普通の食べ物だけで身につけた筋肉も、その性質は変わりないんです!ぶっちゃけ、「プロテインを使って身につけた筋肉は偽物で役に立たない」というのは、医学的・科学的根拠のない、噂や迷信なんです。

なので「プロテインを飲んで筋トレをしているけど、やめた方がいいのかな・・・」と思われてしまった方、全然心配しなくてオッケーです。むしろ止めたらダメです。これからもどんどん続けてください。

 

プロテイン粉末も、普通の食事も、身体に入ってしまえば同じアミノ酸

そもそものハナシとして、大豆などを原料として粉末になっているプロテインも、卵白や肉類、豆腐や納豆といった食事から摂るたんぱく質も、体内に吸収されれば分子レベルにまで分解されてアミノ酸となることでカラダに利用されるようなるんです。

そうやって分子レベルまで分解されたアミノ酸の元が、プロテインだったのか、卵白だったのか、はたまた牛肉だったのか、いちいち区別するようなことはないんです。もっと言ってしまえば、アミノ酸は元の食材によって性質が変わるなんてことはなく、そこから生み出される筋肉の質が違ってくるなんてことも、実際にはありえないことなんです。

 

こんな迷信が、これほどまでに広まってしまっている理由とは・・・

では、なぜこのような迷信が、あたかも真実であるかのように飛び交ってしまっているのでしょうか?これには、いくつか理由があります。ちょっとばかり、深く切り込んでご説明していきましょう。

 

理由その1:筋肉が短時間でつきやすい・・・その分、落ちやすい傾向もある

プロテインを飲みながら筋力トレーニングを行うと、比較的短い時間で筋肉がつきやすくなります。これはプロテインの大きなメリットです。特に、元々筋肉量が少ない方や、たんぱく質が食事で十分に摂れていなかった方はその恩恵を受けやすく、これは嬉しいことですね。

そこまではいいのですが、一方で、人間には恒常性(ホメオスタシス)という、身体の状態を一定に保とうとする性質があるんです。なので、短期間で急に筋肉をつけた場合、その変化を身体が自分で元に戻そうとする働きが出てしまうんです。逆に、じっくり時間をかけてつけていった筋肉は安定しやすく落ちにくいというわけです。

つ・ま・り・・・短時間でついた筋肉は、トレーニングをやめてしまうと、すぐ落ちてしまうという傾向があります。急激にダイエットをすると、リバウンドしやすいとうのを聞いたことがあると思いますが、あれと同じ原理です。このことが回りまわって、プロテインを使って短期間で身につけた筋肉は落ちやすい=偽物というイメージがついてしまったのではないかと思われます。

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photo by Joint Base Lewis McChord

 

理由その2:見せる筋肉と、使う筋肉の違いが、誤解されてしまっている

プロテインを使って筋肉を作っている人と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはボディビルダーの方々ですね。実際にも、そうした傾向は高いようです。で、そうしたイメージがある誤解を生んでしまっているようです。

実はボディビルダーの方々の筋肉というのは、見せることを目的としてつけられている筋肉です。アスリートの方が動作トレーニングや技術トレーニングを積んで身につけた、運動に使うため筋肉とは性質が異なります。目的や使われ方が違う筋肉だと言えば分かりやすいでしょうか。

そのためボディビルダーの方は、見た目は筋骨隆々でも、運動能力はプロアスリートには及ばないというのが現実なのです。そしてこの事実を、筋力に自信のない人がコンプレックスの裏返しとして攻撃したのが、ことの始まりのようです。「プロテインを飲んで筋肉を大きくしているボディビルダーは見た目だけで大したことがない=プロテインで作った筋肉は偽物」という理論ですね。どうやら、この負け惜しみが、噂として広まったというのが真相のようです。なお、念のため付け加えておきますと、プロアスリートの方々の中にもプロテインの愛用者はたくさんいます。

 

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photo by Francois Peeters

 

理由その3:プロテインの効果に期待しすぎて、逆恨みをしているケース

ひとつ質問です。「プロテインは飲むだけで筋肉がつく」と思っている方はどれぐらいいるでしょうか?残念ですが、それは誤解です。プロテインには、そんな魔法のようなチカラはありません。今一度申しあげておきましょう。プロテインは大豆などを原料としたタンパク質の粉末であり、通常の食事だけでは十分に摂取できない量を補うものです。そして筋力トレーニングと組み合わせることではじめて、筋肉を増やす働きが望めるものなんです。

こうしたプロテインの性質を正しく理解せずに利用した結果、思い通りの結果にならず、プロテインに対して逆恨みを抱く・・・そんな冗談のようなケースが実際に少なくないと聞き、驚いてしまいました。特に多いのは、運動をせずにプロテインを摂取し続けるというパターン。筋肉を増やす働きは望めないばかりか、却って脂肪として蓄積されてしまうという結果をもたらします。

とりわけ、元々太り気味な方が筋力アップと痩身効果を狙い運動をせずプロテインを飲むということをした結果、逆効果で以前より太ってしまったというケースが目立つとのこと。そう思い込んでしまった理由として、巷ではプロテインを用いたダイエット効果を謳う健康食品が出現しており、プロテイン=ダイエットという必ずしも正確ではない刷り込みがなされてしまったことが原因のようです。

以上のように、プロテインに対する誤った認識や過度の期待といったものを抱いていた方が、思い通りの結果を得られなかったことで、プロテインに対する逆恨みが生まれるというパターンは少なくないようです。そこから、プロテインは役に立たない→プロテインで作った筋肉は偽物という図式が生まれ、噂として広まってしまっているというのが実態のようです。

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photo by theseanster93

 

理由その4:プロテインを禁止薬物のステロイドと混同しているケース

ネット上の匿名掲示板などで多くみられるのがこのパターンです。プロテインとステロイドはどちらも筋肉を増やすために用いられますが、その性質は全くの別物です。いわゆる知ったかぶりや知識の浅さなどでプロテインとステロイドを混同し、あたかもプロテインが悪者であるかのような物言いが横行しているというのが現状なのです。まったく腹立たしいったらありません。

ご存知ない方に説明しておきましょう。ステロイド(正式にはアナボリック・ステロイド)は短期間で筋肉を急激に増やすことができる薬物です。通常のトレーニングで得ることのできる水準を遥かに超えた筋肉成長を促す作用がある反面、深刻な副作用をもたらすことで知られます。もちろん、スポーツ界では使用が認められていませんし、ドーピング検査にもひっかかるという代物なのです。

古くは1988年のソウルオリンピックで、カナダの100m走選手のベン・ジョンソンが使用したことが発覚し金メダルが剥奪されました。また2000年代には、バリー・ボンズやマーク・マグワイアなどアメリカ野球界での常用者が明るみになり、社会問題となったのも記憶に新しいところですね。さらには、ステロイドを常用していたアメリカのプロレスラーが副作用で車椅子生活を余儀なくされている事例なども報告されています。ステロイドは本当に怖い薬物であることが分かってもらえるでしょう。

このように、ステロイドで作られた筋肉ならば、偽物と呼ばれてしまうのはむしろ当然ですね。禁忌の対象となるのもうなずけます。問題なのはこのステロイドとプロテインを一緒くたにして攻撃する手合いがいることです。繰り返し述べています通り、プロテインは大豆などを原料としたタンパク質の粉末であり、法的にも道義的にも、摂取することに何も問題はないんです。くれぐれも誤解しないでください。

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photo by murilocardoso



長々としたご説明にお付きいただきまして、ありがとうございます。「プロテインを飲んでつけた筋肉は偽物」というのは、迷信や誤解、デマなどが付き重なって生まれたものであると、お分かりいただけたと思います。

筋力トレーニングやプロテインに限ったことではありませんが、ネット全盛の今、世の中には誤った情報もたくさん溢れかえっているという現実があります。私ごときが言うのもなんですが何事も鵜呑みにしてしまうのではなく、その情報が正しいのか否かを、キチンと調べてみるということがますます重要になってきていますね。プロテインに関する誤解があまりにも多いことに驚くと同時に、強くそう思いました。

最後にもう一度、プロテインは筋肉をつける上で役立つものですが、それも正しい知識をもって正しいやり方をしてこそ。この点をしっかり踏まえた上で、今日もしっかりと、筋力トレーニングに励みましょう!