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オーバートレーニング症候群を知ってますか? トレーニングのやり過ぎで選手生命が絶たれる皮肉【8個のチェックリスト付き】

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トレーニングのやり過ぎは、筋力アップには逆効果であることは、筋肉痛と超回復を科学的に理解する。筋トレ効果を最大化する方法とは?【一週間のトレーニングメニュー付き】にて説明しましたが、実はそれだけにとどまらないリスクも潜んでいるのです。

今回は、実は怖いオーバートレーニングのリスクについて、ご紹介していきたいと思います。

 

実は怖い! トレーニングの「やり過ぎ」

身体の免疫力の低下

オーバートレーニング筆頭は、身体の免疫力を低下させてしまう可能性。風邪をひきやすくなる、疲れやすくなるなどの症状があらわれます。しかし、その程度で済めば、むしろ軽度と言えます。それをはるかに上回るリスクがあるのです・・・それは「オーバートレーニング症候群」というものです。

常に慢性疲労状態! オーバートレーニング症候群

オーバートレーニング症候群とは何なのか? 厚生労働省が提供してる「e-ヘルスネット」によると、このように紹介されています。

スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態。

大きな過負荷を続け疲労回復に必要な栄養と休養が不十分であった場合には、かえって競技の成績やトレーニングの効果が低下してしまいます。

競技成績の低下だけでなく、疲れやすくなる・全身の倦怠感や睡眠障害・食欲不振・体重の減少・集中力の欠如・安静時の心拍数や血圧の上昇・運動後に安静時の血圧に戻る時間が遅くなるなどの症状がみられます。

引用元:オーバートレーニング症候群 | e-ヘルスネット 情報提供

 

W杯日本代表 大久保選手のケースに見るその症状

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サッカーがお好きな方なら、この「オーバートレーニング症候群」という名称にピンと来る方も多いことでしょう。先のブラジルワールドカップ日本代表にも選出された大久保嘉人選手のエピソードがよく知られています。大久保選手の事例を交えながら、具体的な症状を見ていきましょう。

睡眠障害、集中力の欠如、倦怠感、、、

大久保選手はブラジル大会の4年前、南アフリカ大会でも活躍しましたが、南アフリカ大会終了後、不振が続くようになりました。睡眠障害や集中力の欠如、倦怠感に苦しまされ、FW選手としての生命線である得点も、一桁に落ち込んでしまっていました。

オーバートレーニング症候群に詳しい日本体育大の岡本孝信教授(運動生理学)によれば、大久保選手の状態は「かなり重症だったと推測できる」とのこと。

うつ病に似た症状で選手生命に影響を及ぼすことも!

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岡本教授曰く

オーバートレーニング症候群は、生理的な疲労が回復しないままトレーニングを続けることで慢性疲労状態に陥る。責任感の強い人に多く、重症の場合は、うつ病に似た症状を訴え、選手生命に影響を及ぼすこともある

引用元:時事ドットコム:「燃え尽き症候群」克服=選手生命賭けたW杯−大久保選手〔W杯〕

というものです。

亡き父の言葉を励みとして克服

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それこそ選手生命の危機という状態にまで落ち込んでしまった大久保選手を救ったのは、亡きお父様が遺した「日本代表になれ 空の上から見とうぞ」という言葉だったそうです。この言葉を励みとした大久保選手は2013年、川崎フロンターレに移籍し、26ゴールを挙げて得点王に輝き、日本代表にも復帰しました。このエピソードはテレビなどでもよく紹介されていましたね。

 

「オーバートレーニング症候群」を予防するには? 

大久保選手は「幸運」にもオーバートレーニング症候群を克服し、精神の平静を取り戻すことができました。しかし、実は万人がそうなれるわけではありません。

オーバートレーニング症候群のうち肉体的な疲労は休息とともに回復できますが、集中力の欠如や倦怠感などの精神的症状は、必ず回復するという保証はないからです。「幸運」という言葉を使ったのはそのためです。

なぜこんな症状が起きるのかは、いまだに謎、、、

そもそも、厄介なことにオーバートレーニングによって、なぜ精神的諸症状が起きてしまうのかは、まだ解明されていないのです。脳神経系の機能障害が起こるためという説が有力ですが、100%解明にはまだ時間がかかるとのこと。このことからも、オーバートレーニング症候群は事前に予防することが重要なのです。

もしかして...? と思ったらチェックリストを活用!

では、具体的にどうすればよいのでしょうか?簡単に言えば、運動量を適切にした上で、休養をしっかり取るということになります。しかし、その度合いは、専門家でもなかなか判断が難しいところ。そこで、ぜひ活用していただきたいのが、以下のチェックリストです。

■もしかしてオーバートレーニング症候群チェックリスト

  • ジョギング程度の運動がつらい
  • 安静にしていても疲労感がある
  • 練習しているのに記録がおちる
  • 起床直後の脈拍が一分間に70以上ある
  • 毎日走らない(運動しない)と不安だ
  • 風邪をひきやすくなった
  • よく立ちくらみをする
  • 気分が落ち込み、眠れない

引用元:長崎内科クリニック ドクターズフィットネス

言うまでもありませんが、これらの項目で当てはまるものが多いほど、オーバートレーニング症候群の可能性は高くなります。

なお、このチェックリストは静岡において「医療とフィットネスの融合で健康な身体づくり」をコンセプトとしている、長崎内科クリニックの医院長、長崎文彦医師によるものです。ちなみに長崎医院長は清水エスパルスや京都パープルサンガなどのチームドクターや、サッカー日本代表のメディカルアドバイザーを務めた経験もお持ちです。信憑性という点では抜群でしょう。

ひとつでも当てはまったらトレーニング量を減らす

これらの症状がひとつでも当てはまったら、まずは勇気をもってトレーニング量を減らし、間隔を十分にとってください。それでも症状が改善されないようならば、専門医の門を叩くべきでしょう。

先にも述べました通り、オーバートレーニング症候群の原因や諸症状がなぜ起きてしまうのかはまだ100%解明されてはいませんが、専門医ならば改善への期待はもてます。

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photo by agrilifetoday

例えば長崎内科クリニックでは、心肺運動負荷試験(PCX)という運動中の酸素代謝を調べる検査を行うことで、一人ひとりの運動能力や治療のための運動強度を診断できるとしています。オーバートレーニング症候群に限りませんが、何事も一人で悩むのではなく、専門家の協力をあおぐことが、解決への近道です。

 

まとめ

以上の通り、トレーニングのやりすぎは逆効果なばかりか、恐ろしいリスクが潜んでいることが十分にお分かりいただけたのではないでしょうか。少しでも心当たりのある方、特に専門トレーナーの指導受けていないという方や自己流でトレーニングメニューを決めている方で、なおかつ上記のチェックリストにあてはまる場合は、直ちに運動量や内容、休息の取り方を見直してください。そのことが、筋力アップの改善につながれば幸いです。